カトリック神戸中央教会

Kobe Central

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赤波江 豊神父
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黙想のヒント 復活節第5主日

「わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である」(ヨハネ15:5)

イエスのたとえには自然を題材にしたものが多いですね。
今日のぶどうの木のたとえの他、種まき(マタイ13:1-9)、一粒の麦(ヨハネ12:24)、からし種の木(マルコ4:30-32)、野の花や空の鳥(マタイ25-34)など。
イエスは大工ヨセフの子ですが、大工仕事に関するたとえは少ない(マタイ7:24-29など)。

きっと大工仕事は毎日あったわけではなかったのでしょう、ヨセフは一年の多くを農作業をして生計を立てていたと思われます。
従ってイエスもヨセフの仕事を手伝っており、その体験から自然を題材にしたたとえ話が生まれたのでしょうね。
「わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である」(15:1)とイエスは冒頭で語っています。
「わたしの父」は天の御父を意味しますが、養父ヨセフもまた実際は農夫であったと思われます。

「わたしにつながっていなさい。わたしもあなたがたにつながっている。ぶどうの枝が木につながっていなければ、自分では実を結ぶことができないように、あなたがたも、わたしにつながっていなければ、実を結ぶことができない。」(15:4)

時々アスファルトの隙間からきれいな花が咲いている光景を目にします。
印象に残っているのは、春のすみれと秋のコスモスです。不思議な光景ですね。どうやって咲いているのでしょうか。
きっとアスファルトの隙間に落ちた種が、その隙間から必死で細い根を伸ばしアスファルトの下の土までたどり着いて、その土から養分をもらって咲いているのですね。
しかもコスモスなど1メートルくらいに生長して大輪の花を咲かせている光景を何度も見たことがあります。

10年くらい前でしょうか。新聞で「ど根性大根」が話題になりました。
とある路上のアスファルトの隙間から大根が芽を出したのですが、それが大根として成長するどころか、何とその大根がアスファルトを持ち上げていたのですね。
これには皆驚きました。何という生命力。
どっぷりと土に根を下ろしていなくても、場合によったらほとんど栄養のない土で植物として飢餓状態にあるときの方が植物本来の生命力を発揮することもあるようです。

わたしたちも同じで、平和なときより非常に困難なときの方が人間本来の生命力を発揮するようです。
神に100パーセントでなくても、細々とでも、クモの糸くらいでも、とにかく何らかの形でつながっていることが大切なのですね。
つながってさえすればそこから神は希望という大輪の花を咲かせてくださいます。
人は弱いという言い方があります、でも同時に人は強いのです。私たちには自分でも信じられないような生命力が宿っています。
しかし多くの場合それを知らないか、信じていないか、信じようとしないかなのです。

皆さん、神とのつながりによって生まれる一人一人の無類の生命力をもっと信じてください。

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