カトリック神戸中央教会

Kobe Central

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赤波江 豊神父
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黙想のヒント 年間第29主日C年

「絶えず祈らなければならない」(ルカ18:1)

教会は伝統的に「絶えず祈る」ということを推奨してきました。
祈りは呼吸のようなものであり、意識の深層において、絶えず神とともにあるということです。
私たちは絶えず無意識の内に呼吸しています。

人間の意識には、五感で感じることのできる意識(顕在意識)の下に、五感で感じることのできない無意識の部分、即ち潜在意識があります。
祈りとは、この潜在意識の中にいる神とともにいることを意味します。
人間の体は無数の細胞から成り、それが調和を保って生きています。同様に、人間の心も本来調和を保っていなければなりません。
調和という言葉は、しばしば平和という言葉に置き換えられます。そのため、カトリック教会では呼吸のリズムに合わせたロザリオなど、単純な祈りの繰り返しによって、潜在意識の中にいる神に呼びかけ、神と一体化して心に平和を保つことを願ってきました。同じ伝統が東方教会には「イエスのみ名の祈り」という形で残っています。

見える自分を変えたいのであれば、まず自分の見えない部分から変えましょう。
私たちは、この意識の深層部である潜在意識のうちにいる神に、絶えず正しく美しく単純な言葉で語り続けることによって心は静寂を保ち、善悪の判断、罪からの解放、神に向かう創造的生き方ができるよう心の声を求めるのです。

この声を神の声と呼びますが、この心の声が偉大な音楽家たちに与えた影響も大きく、例えばモーツァルトは、自分は「作曲家」ではないと公言して、「音楽が私のところにやってくるのだ。私はそれを書き写しているにすぎない。」と言い、ベートーヴェンも「満ち足りた、豊かさを感じられる瞬間に、音楽が私の心の耳に届けられる。」と言いました。彼らにとって音楽とは、自分が作ったものではなく、深い静寂さの中で訪れる心の声に耳を澄まし、そうして与えられるものだったのです。

ところで、人間の細胞は11か月ごとに新しくなると言われています。身体的に見れば、人間の体は生後11か月そこそこなのです。この大切な体を恐れ、怒り、妬みなどのストレスで自らの細胞を破壊させるか、前向きな思考と美しく愛に満ちた言葉で(一般的な言い方をすれば、快楽ホルモンと言われるドーパミンやセロトニンを放出し)、心に平和をもたらすかは私たち次第なのです。
人生の大切なことは、全て単純に、前向きに、創造的に決められなければならないのです。

アイルランドのある農家の主人はいつも陽気で、歌って、ユーモアたっぷりでした。
ある人がその秘訣を尋ねたところ「幸せなのは私の習慣だからだ。私は毎朝起きた時と寝る前に、家族と作物と家畜と神様を祝福することにしている。それから、たくさんの収穫をありがとうと、いつも神様に感謝するのだ。」と答えました。彼はこの習慣を40年以上守っていました。
彼によって日々繰り返された祝福と感謝の単純な言葉は潜在意識の神に浸透し、それが習慣となって幸福をもたらしたのです。
実に、幸福とは習慣であり、絶えず祈るとは、絶えず感謝することに他ならないのです。

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