カトリック神戸中央教会
Kobe Central
catholic church
赤波江 豊神父
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「エッファタ」(マルコ7:34)
今日の福音は耳が聞こえず舌の回らない人が癒された話です。
イエスの奇跡の多くは病気の人が癒されたもので、実際病気の人が癒されたと同時に、私たちにとってもこのような出来事がどんな意味を示しているのか考えてみる必要があります。
例えば目の見えない人が癒された話は、挫折、失敗、孤独などで人生の暗闇に陥った私たちがイエスと出会って光が与えられる。
歩けなかった人がイエスによって歩けるようになった話は、誤解や偏見に捉われて人生につまずいていた私たちが、イエスと出会って人生をまっすぐに歩けるようになったなど。
それでは今日の福音のように、耳が聞こえず舌の回らない人が癒された話は、どのようなヒントが示されているのでしょうか。
実は、この病は私たちが常日頃経験するところです。
即ち、「口を閉ざす」という心の病です。
喧嘩や争いなど、何か気に入らないことがあったとき私たちはこの病に陥ってしまいます。
家庭で、学校で、職場で、そして教会で。しかもこの病は自覚症状がないことが多い。
さらに誰かに対して「この人嫌い」という思いをいだくと、その思いは必ず表情に出て、相手もそれを感じとりますます距離を置くようになります。
このようなとき、イエスが「エッファタ」(開け)と言ってくれたら私たちの口は開くのです。
でもそのためには、私たち自身が癒されることを望まなければならないのですね。
癒されたいという願望のないところに、また癒しもない。
でも癒されたいと願ったそのとき、もう半分癒されているのです。
ではどうしたらこの癒されたいという思いを引き出すことができるでしょうか。
復活したイエスが受難の夜ご自分を見捨てた弟子たちに現れた時の第一声が、「あなたがたに平和があるように」でした。
この一言で受難の夜イエスを見捨てた弟子たちの心の傷は癒されました。
皆さんも今口を閉ざしている人が頭に浮かんできたら、力まず、さらりと一言「あなたの上に平和あれ」と言ってごらんなさい。
これ以上のことは何も言わなくていいです。
これを繰り返すうちにあなたの心は少しずつ変わり、やがてあなた自身に癒しがもたらされますよ。
試してみてください。今日の黙想のヒントです。
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