カトリック神戸中央教会

Kobe Central

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赤波江 豊神父
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黙想のヒント 四旬節第一主日C年

「イエスは聖霊に満ちて、ヨルダン川からお帰りになった。そして、荒れ野の中を“霊”によって引き回され、40日間、悪魔から誘惑を受けられた」(ルカ4:1~2)

イエスは荒れ野に退きました。
荒れ野は何もない所です。あるのは神と自分だけの世界です。
そこにイエスは宣教活動に出るまでの40日間、父なる神とともにあり、同時に大きな試練を受けました。
四旬節が始まりました。私たちもこの四旬節の間荒れ野に退きましょう。
でも実際どこかの荒れ野に行くのではなく、「心の荒れ野」に退きましょう。
即ち、心の中の神と自分だけの世界に退いて、今自分が何をなすべきかを黙想しましょう。
それは四旬節の間何もしないという意味では決してありません。

この四旬節こそ実行の時です。
ちょうど激しく回転する発動機の中心部が動いていないのと同様に、より良く活動するため、心の中心部には神とともにある静寂さが必要なのです。
四旬節は伝統的に断食の時です。
イエスはヨルダン川で洗礼を受けられた後、荒れ野で断食しました。
断食は旧約時代から大切な宗教行為で、人々は神のみ旨を求めるときや、何か大切なことを決断する前などに断食しました。
しかし断食には落とし穴があって、形式主義に陥りやすいということでした。

そのことでイエスは律法学者やファリサイ派と対立しました。
本来断食は大切な宗教行為ですから、それは神と人への愛に直結したものでなければならないのです。
イエスご自身しばしば断食しました。
しかし、イエスは一度も弟子たちに断食を命じたことはありませんでした。
断食は本来、神と人への愛に直結したものであり、その愛というものは人に命じたり、強制したりするものではないからです。
従って教会も四旬節には断食とともに、神と人への愛を証しする活動を推奨してきました。

今年の四旬節は、ロシアのウクライナ軍事侵攻とともに始まりました。
毎日、目を覆うような惨状が報道されています。
しかし軍事的に勝利することが、必ずしもその国を支配することにはならないのです。そのことは歴史が証明しています。
今、世界のほとんどの国はロシアの軍事侵攻に反対してそれを実行に移し、ウクライナの人々も今までになく一致結束しています。

2月24日、南部ヘルソン州のニチェスクという町で、機関銃で装備したロシア兵にウクライナの女性が対峙する光景がネット上で配信されました。
女性はロシア兵に「何をしに来たのか」と詰め寄ります。
「話しても無意味だ」と答えるロシア兵に「このヒマワリの種をポケットに入れなさい。あなたが死んだらこのヒマワリの花が咲くでしょう」と命がけの皮肉を浴びせます。
ヒマワリはウクライナの国花です。
それ以来、世界中で繰り広げられている抗議運動には、抵抗のシンボルとして人々はヒマワリの花を手にしています。

今、神と人への愛が私たちを駆り立てています。
私たちも、それぞれ何らかの方法でウクライナの人々に救いと光がもたらされる道を探し、すぐに実行に移しましょう。
ヒマワリの花は今年もウクライナの大地を覆い尽くすでしょう。

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